化学メーカーの研究職を志望する場合、
多くの企業で提出を求められる書類は主に2つあります。
- エントリーシート(ES)
- 研究概要
企業側は研究概要を通して、
この人は、入社後に研究者としてどれくらい活躍してくれそうか?
を判断しています。
言い換えると、研究概要は
「博士としての研究力・思考力・再現性」を一気に見られる書類です。
一方で、
- 書き方が体系的にまとまった情報が少ない
- ネットに実例がほとんど出回らない
- ラボ内でもノウハウが共有されにくい
- 学振や学会の書き方とは少し主張する点が異なる
という背景から、
「これで本当にいいのか分からないまま書いている」
という方が非常に多いのが現状です。
この記事では、
- 研究概要とはそもそも何か
- どんな視点で書くべきか
- 全体構成はどう考えればよいか
を、化学メーカー研究職就活向けに整理します。
研究概要とは何か?
主な読み手は、
- 現場の研究職マネージャー
- 入社後の直属の上司になり得る研究者
です。
アカデミアで例えるなら、
助教クラスの研究者が読むイメージに近いです。
そのため、
- 研究の中身はしっかり書く
- ただし専門外の人にも伝わるように書く
- 「すごい結果」より「考え方・進め方」を見せる
というバランスが非常に重要になります。
研究概要は、
「研究成果の要約」ではなく「研究者としての説明能力の証明」
だと捉えると、方向性を間違えにくくなります。
研究概要の基本フォーマット
化学メーカーの場合も、
多くの企業で以下が一般的です。
- A4・2ページ
(企業によって1ページ/3〜4ページの場合もあり) - Word作成が多数派
- フォーマット指定はほぼなし
おすすめは、
まずA4・2ページで完成形を作ることです。
ページ数が変わっても、
- 構成は変えない
- 情報量で調整する
という考え方で対応できます。
誰向けの書類かを絶対に忘れない
研究概要を書くうえで、
最もズレが起きやすいポイントがここです。
研究概要は、
- 同分野の専門家「だけ」に向けた文章
でもなく - 完全な素人向けの解説
でもありません。
分野外の研究者が読んでも、
- 何が面白い研究なのか
- どこが難しいポイントなのか
- 課題をどう考えて、どのような解決策で次に進んだのか
が理解でき、
「この人、研究者としてちゃんとしてそうだな」
「一度、直接話を聞いてみたいな」
と思ってもらえる状態を目指します。
これは、
入社後に研究テーマを提案・説明する力
そのものでもあります。
研究概要の基本構成(化学メーカー向け)
私が化学メーカー研究職向けに
最低限押さえるべきだと考えている構成は、次の流れです。
題目
研究の背景・課題
本研究の目的・方法
結果と考察
結論と今後の展望
参考文献
それぞれ解説していきます。
① 題目
まずは研究題目ですが、
論文タイトルをそのまま持ってくる必要はありません。
- 研究の「中身」が一目で伝わる
- 専門外の研究者にも何をやっているか分かる
- 多少噛み砕いてもOK
といった点を意識すると良いです。
論文調すぎる題目よりも、
研究の核心が分かるタイトルの方が好印象です。
② 研究の背景・課題
次に、研究の背景と課題です。
- なぜこの研究分野が重要なのか
- これまで何が分かっていて、何が未解決なのか
- どこに課題があるのか
を、専門外の研究者にも伝わるレベルで説明します。
ここでいきなり専門用語を多用すると、
読み手の理解が追いつかなくなるため注意が必要です。
「この課題、確かに解く価値がありそうだな」
と思ってもらえるかどうかがポイントです。
③ 本研究の目的・方法
背景・課題を受けて、
- 本研究では何を明らかにしたいのか
- そのために、どのようなアプローチを取ったのか
を簡潔にまとめます。
方法については、
- なぜその手法を選んだのか
- どんな情報が得られる手法なのか
が伝わる程度で十分です。
手法の羅列にならないよう、
「目的 → 方法」という対応関係を意識しましょう。
④ 結果と考察
研究概要の中で、
最も重要なパートです。
- 得られた主な結果(客観的事実)
- その結果から何が言えるのか(考察)
をセットで記載します。
結果については、
図と文章を組み合わせて説明すると効果的です。
また、
- 結果をどう解釈したか
- 次の実験や検討にどうつなげたか
といった、研究の進め方・思考の流れが見えると、
研究者としての評価が高くなります。
⑤ 結論と今後の展望
最後に、研究のまとめと今後の展望です。
- 当初の目的はどこまで達成できたのか
- 何が明らかになったのか
- 残された課題は何か
を整理します。
重要なのは、
研究を無理に完結させようとしないことです。
未解決の点があっても、
- 今後どう解決しようとしているか
- どのような発展が考えられるか
を示すことで、
研究者としての視野や計画性をアピールできます。
⑥ 参考文献
参考文献は、
必須ではありませんが、入れるなら最低限でOKです。
- 本研究の位置づけを示す代表的な論文
- 手法や考え方の根拠となる文献
を、数報挙げる程度で十分です。
スペースの都合で省略する場合でも、
面接で聞かれた際に説明できる準備はしておきましょう。
正直なところ一人で書くのはかなり難しい
ここまで読んで、
思ったより考えること多いな…
と感じた方も多いと思います。
実際、
研究概要は
- 書いていると不安になる
- 何が正解か分からない
- 客観的な視点が持ちにくい
書類です。
私自身もそうでしたし、
これまで多くの博士の方と話してきて、
ほぼ全員が同じ壁に当たっています。
実例を使った解説
ここまでで紹介した構成方法を使った解説例を以下の記事で解説しています。
以下の記事では研究概要の「考え方」「全体像」「実例」に絞って解説しました。
- 実際の文章の組み立て方
- 研究テーマ別の注意点
- 化学メーカー視点でのNG例
- 添削でよく直すポイント
といった部分をより詳しく扱っています。
どのように研究概要に落とし込むかを知りたい方はぜひご覧ください。


研究概要の個別添削・就活相談
現在、
化学メーカー研究職を志望する修士・博士学生向けに、
研究概要の個別添削や就活相談を行っています。
- 研究内容そのものの良し悪しではなく
- 企業にどう伝わるか
- 研究者としての強みが見える構成になっているか
という観点で、フィードバックします。
「まだ完成していない段階」
「方向性だけ確認したい」
といった相談でも問題ありません。
まずは、
今の研究概要を“企業目線で一度見てもらう”
という使い方をしてもらえればと思います。

まとめ|研究概要は「早く正しい形」を知ることがすべて
化学メーカー研究職の就活において、
研究概要は最も重要で、かつ最も差がつく書類です。
一方で、
- 正解が分かりにくい
- 周囲に相談しづらい
- 書き直すほど不安になる
という性質もあり、
多くの博士・修士学生が同じところで悩みます。
特に理系の大学院生は、
研究と並行して就活を進める必要があるため、
「迷う時間」を減らすこと自体が大きな価値になります。
まずは、
- 今の研究概要をこの構成に当てはめてみる
- どこが弱いかを自分なりに整理してみる
そこから一歩進めたいと感じたら、
第三者の視点を入れるのも一つの選択肢です。
研究と就活、どちらも後悔のない形で進めていきましょう。
応援しています!最後まで読んでいただきありがとうございました!


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