今回は、私が以前書いたES研究概要の書き方に基づいて、生成AIを使って研究概要を作成してみます。
ステップ1:事前準備 AIに与える情報を整理する
以下の項目について、ご自身の研究内容を箇条書きで書き出してください。これがAIへの最初のインプットになります。
- 研究対象
- 応用可能性
- 課題の要因となっている研究対象のメカニズム
- 分野の課題
- 自身の工夫
- 成果 (数値や比較で効果を示す)
一例をあげると以下のようなイメージです。
- 研究対象:疾患部位の環境変化に応答して薬物を放出する技術である刺激応答性ドラッグデリバリーシステム(DDS)
- 応用可能性:副作用の低減や治療効果の向上への高い応用性
- 課題の要因となっている研究対象のメカニズム:刺激応答性DDSのメカニズムは、薬物担体が疾患部位の環境変化を感知し、構造変化に基づき薬物を放出することである。
- 分野の課題:生体内環境の複雑性のため、標的部位でのみ選択的に薬物を放出させる機能設計は困難
- 自身の工夫:疾患部位の酵素に応答して自己集合状態が変化するナノキャリアを設計した。
- 成果 — 数値や比較で効果を示す:モデル疾患環境下において90%以上の薬物を選択的に放出させることに成功し、新たなDDSの設計戦略を確立できた。
ステップ2:フレームワークの学習と草案作成
次に、整理した情報を基に、私が以前書いたNoteの記事のフレームワークをGeminiに学習させて、最初の原稿を作成させます。
プロンプト(AIへの指示)の例:
あなたは、理系学生向けのES添削を専門とするキャリアコンサルタントです。
これから、添付のフレームワークと研究内容の箇条書きを基に、エントリーシート用の研究概要を作成します。
# フレームワーク
- 研究対象
- 応用可能性
- 次に示す課題の要因となっている研究対象のメカニズム
- 分野の課題
- 自身の工夫
- 成果 (数値や比較で効果を示す)
# フレームワークを用いて作成した研究概要の例
# 私の研究内容
- 研究対象:疾患部位の環境変化に応答して薬物を放出する技術である刺激応答性ドラッグデリバリーシステム(DDS)
- 応用可能性:副作用の低減や治療効果の向上への高い応用性
- 課題の要因となっている研究対象のメカニズム:刺激応答性DDSのメカニズムは、薬物担体が疾患部位の環境変化を感知し、構造変化に基づき薬物を放出することである。
- 分野の課題:生体内環境の複雑性のため、標的部位でのみ選択的に薬物を放出させる機能設計は困難
- 自身の工夫:疾患部位の酵素に応答して自己集合状態が変化するナノキャリアを設計した。
- 成果 — 数値や比較で効果を示す:モデル疾患環境下において90%以上の薬物を選択的に放出させることに成功し、新たなDDSの設計戦略を確立できた。
# 私の研究内容
(ここにステップ1で整理した箇条書きを貼り付け)
以上の情報に基づき、まずは【300字】で研究概要の草案を「である調」で作成してください。
ステップ3:生成AIで回答を出力
先ほどの指示でChatGPT 4oを使って出力してみました。

出力された研究概要部分はこちら↓
私の研究対象は、疾患部位の特異な環境変化に応答して薬物を放出する刺激応答性ドラッグデリバリーシステム(DDS)である。本技術は、副作用の低減や治療効果の向上といった高い応用可能性を有する一方で、生体内環境の複雑さにより、標的部位でのみ選択的に薬物を放出させる機能設計が困難という課題がある。私はこの課題を解決すべく、疾患部位に特異的な酵素に応答して自己集合状態を変化させるナノキャリアを設計した。その結果、モデル疾患環境下において90%以上の選択的薬物放出を達成し、新たなDDS設計戦略の有効性を示すことができた。
なかなかいいのではないでしょうか?少なくとも文章としておかしな点はないですし、これで提出できるレベルだと思います。
ただし、「課題の要因となっている研究対象のメカニズム」の部分が出力された文章だと飛ばされてしまっているようです。
初期段階の原稿を作成するには十分ですが、もう少し改善した後に提出するのがよさそうですね。
私が改善した例を以下に示しておきます。改善のポイントや細かい書き方は以前書いたNoteを見てみてください!
私が改善した例↓
私は、疾患部位の特異な環境変化に応答して薬物を放出する技術である刺激応答性ドラッグデリバリーシステム(DDS)の設計・開発に取り組んでいる。この技術は、がん治療等において、副作用を低減し治療効果を高める次世代DDSへの応用が期待されている。最近では、熱応答型リポソームで実用化されるなど、注目を集めている。本研究では、実験と理論の両面から薬物放出メカニズムの解析することを目的としており、現在は細胞を用いた基礎評価を実施中である。これまでにモデル系で90%以上の選択的放出を確認しており、今後は生体模倣環境での評価やMD計算に進む予定である。
まとめ
今回は、実績のあるフレームワークを基に、生成AIを使ってES研究概要の初稿を作成する具体的な手順とプロンプト例を紹介しました。
重要なのは、AIに丸投げするのではなく、AIを「文章化アシスタント」として活用するという視点です。
AIの出力は完璧ではなく、あくまで「質の高い叩き台」です。必ずご自身の言葉で、この記事で紹介したフレームワークに沿っているかを確認し、最終的な推敲と事実確認を行ってください。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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